自然療法医学の必要性
日本科学振興財団理事
今、子どもたちを取り巻く環境は憂うべきものとなっている。LD(学習障害児)、ADHD(注意欠陥多動障害)、HFPDD(高機能広汎性発達障害)の可能性のある子どもの割合は6.3%(平成14年文部科学省調査)。OD(Orthostatic Disregulation=起立性調節障害)即ち、朝起きられず午前中の調子が悪い、立ちくらみ、めまい、頭痛、腹痛、動機、息切れ、食欲不振、だるい、疲れやすいなどに悩む生徒は中学生男子14%、女子26.4%、高校男子18.2%、女子29.7%となっている。2003年小児慢性特定疾患事業で医療費の補助を受けた糖尿病患者数は6,722人。ダウン症は日本の場合、母親の年齢とダウン症の子どもが生まれる割合が、30歳で700人に1人、35歳で300人に1人、40歳で100人に1人というデータもある。 20世紀中葉から増加してきた難病・稀少病の罹患の原因は何処にあるのかという問いに対し、様々な推論が出来るが、その1つとして、戦後の経済成長過程で、様々な製造分野における膨大かつ新奇な化学物質の生産による自然・環境及び生態系への悪影響が考えられるのではないだろうか。これまで最先端医療を含む西洋医学はこれら難治疾患に対し対症療法により、確かに生存率アップに貢献してきたが、完治までは厳しい状況下にある。この中で、従来の西洋医学と様々な相補・代替医療との融合の歩を進め、個々の患者に最適な医療をめざす“統合医療学会”が立ち上がった事により、難治疾患の解明とその治癒、生活習慣病と慢性疾患の減少、そして予防医学に基づく個々の健康増進に期待したい。殊に副作用がほとんどなく心身の自然治癒力をベースにした自然療法医学と現代医学との融合・統合的発展は、患者の立場から「個性医療」を進める上でも今後ますます求められる事になるだろう。 |